映画館で誰と見たのかも忘れたが、「崖の上のポニョ」が好きだ。

緑と青の色彩はみててわくわくするし、町が水に沈んで、古代魚がその中をゆっくり泳いでいくさまに心惹かれる博物館好きは少なくないと思う。

数年ぶりにみたけれど、こんなにロマンチックなストーリーだと、当時は気づかなかった。
大好きな人のために人間になりたいと願うポニョと、彼女に会いたいと願う宗介。
たぶん公開当時は、ストーリーを追いかけるのにいっぱいいっぱいで、
(突拍子もないものがたくさんだから)

当時作品を見て一番印象に残ってたのは、主人公の宗介が母親をリサと名前で呼ぶこと。
そんな親子関係、あるかなぁ、心地よいのかなぁと疑問だった。

だけど、公開から8年経ち、4歳の子どもの母になった今、わたしは親を名前で呼ぶ関係もあると、すんなり信じられる。
わたしは息子にはママと呼ばれているが、名前を呼び捨てされてもいいなぁと常々思っているのだ、実際のところ。

わたしと息子は母と子どもではあるけれども、大きさの違いこそあれ、人間と人間でしかないから。
その人間に貼られたラベルが名前なのであって、そこに母子という関係を持ち込む必要は、少なくともわたしにはない。

主人公の宗介の言動は息子にそっくりで、自分と属性の違う他人を作品のなかに作り上げるってどんな能力(観察眼?)なんだろうと、ただただ監督に敬服。

そして、いつまでも幼く無垢であればいいものを、というポニョ父、フジモトのセリフは、女児の父親の持ってしまう感情なのかな。


色彩に惹かれていた作品だったけれど、恋愛を経験して子どももいる今、当時は拾いきれなかったいろんなものを見ることができたように感じる。
一度しか観ていない方、ぜひ。