昨夜、酔った勢い、気になってた本を買いました。(写真、帰宅してもお酒が抜けてなくて、手が赤い)

風俗レポというタイトルに、レズ風俗ってどんなだろと気になってたの半分、
この人どうしてそんな寂しくなったのかな、気になる半分。

読んでみたら、親の価値観から脱することができず苦しんだ20代後半女性が、風俗を利用してそれをネタにして漫画にしたら売れて、自分の作品が評価されることで親の呪縛から抜け出せた、っていう話だった。


風俗レポは2回分(2回目はおまけコーナーになってる)。
その時のやりとりや流れをかわいい絵でレポートしている。初めての風俗、初めての体験で、もともと人との接触が少ないため、緊張から固まりきる筆者。たぶん、同性同士の関係は知らなくても経験のある女性なら、可愛いなぁ、初めてのときは(相手の性別問わず)こうやって自分も戸惑ってたかも、って感じで、楽しく読めます。(違ったらすみません)

個人的には、抱きしめ返すことができなかった…っていうシーンに、共感しました。
…わたし、いつから自然に人とハグできるようになったかなぁ(いろんなシーンで)

レズ風俗については、お金を出して、危なくないひとに、人肌でぎゅーっと抱きしめてもらえるとしたら、さみしくてさみしくてしょうがない時に、利用してみてもいいかも。と思えました。
男性が来てくれる風俗?よりは、不安がなさそう。


ただし、作者のカビさんは、そもそもレポート漫画を描くために風俗を利用したのではなかった。タイトルの通り、さみしすぎて利用したのだ。
なぜそんなに寂しかったのか?

カビさんは、親の価値観を重視しすぎた結果、自分のことを大切にしなかった。

カビさんには一貫して、自分には◯◯する資格がない…(食事をする資格がない、綺麗に着飾る資格がない、性的な対象とはなってはいけない…)という呪縛があった。

それは、両親の望む自分、になれていないから。両親に否定され、その評価を正しいと信じ、自分には価値がないと思っていたから。
そして、性的な願望を持ったり実現してはいけないのは、親から子どもとして愛されるためだった。

だけど、そんな自分は嫌だ、やりたいことをしよう、
そう決めて、両親からの呪縛を打ち砕くためのアクションとして、彼らの期待と最も相反する自分の要求、性的な体験を手に入れることにした。
この目標に向けて、カビさんは自分を大切にするやり方を覚えていった。


両親の影響を受けざるを得ない環境にいながら、そこまでを自分で分析できた作者はすごいと思う。
両親の望む形でなくても、筆者が自分に価値があると思えたことは奇跡的にも思える。
カビさんは、自分を自分で肯定するためにたくさんもがいて、倒れながらも立ち上がり続けたんだろう。
よく、頑張ったなぁと思う。


わたしは彼女ほど壮絶ではなかったけれど、やはり、両親の子どもでいないといけない、という呪縛に囚われていた時期がある。

カビさんと同じく、自分は(お金を稼がないうちは)価値がないし、ましてや誰にとっても性的な存在ではいけないと思っていた。
そして実家で生活している間は、親の住まいなので親の妨げになることはしてはいけないと思っていた(たとえば水回りを使うタイミングや食事をするタイミング)

だから夫と付き合って知った普通に人と抱き合える生活や、朝でも昼でも使いたいタイミングでシャワーをすることや、空腹を感じたら5時頃夕食をとることや、逆に空腹でなければ朝は食べずに11時頃に朝食だか昼食だかわからない食事をすることや、そのあと食べたければチョコレートを食べることが、誰にも非難されない生活にびっくりした。(チョコレートは直接的には非難されたことはないが、間食したせいで空腹ではなく、次の食事を決められたタイミングでとれないとなると、非常に嫌な顔をされた思い出がある)


カビさんが文字どおり血を流しながら生き抜いたつらい時間と、つらい時期も自分が大切にしたいもの(漫画)を譲らなかった強さ、そしてそれにより手に入れた自分への肯定感と社会からの受容に、心から拍手を送りたい。