上海旅行中、上海火車駅の地下商店街で一目惚れして買ったカバン、日本で持つには意外と恥ずかしかった。

しかし大きさがバイオリンのレッスンにちょうどよい。運指の教本、楽曲の譜面、たちゅごんの教本、チューナー、まつやに、貴重品、ペットボトル。

そんでもってたちゅごんが、屋外に出る前寒くないと思って「いらない」とよこす上着も入ります。

お値段18元。たぶんもっと安くしてもらえたんだろうけど…値下げ交渉に苦手意識のある自分が25元から値切ってみたにしては上出来でしょう。


■四分音符と二分音符、ラとシの曲

たちゅごんは、曲らしい曲の練習に入りました。

四分音符と二分音符のラとシで構成される曲。四分休符もあります。

演奏はどうかというと…四分音符以外の長さはちょっと怪しい。音程もシが高かったり低かったり。

でも今回は、先生はそこは重点的には指摘しませんでした。

理由はたぶん、たちゅごんが「弓が他の弦に当たってしまう」と気にして、ムキになって何度も頭から完璧に(他の弦に当たらないように)しようと繰り返し弾いていたから。

右腕を下げないでもう少し上げるといいんだよ、そんな風に指導してくれていました。


■最初は気づけなかったたちゅごんの気持ち 

たちゅごんは自分の思う通り、他の弦に触らずに音を出すこと、ができなくて悔しかったようです。でもそれがどれくらい悔しいか、わたしには推し量る余裕が最初ありませんでした。

黙ったまま、後ろで見ているわたしに抱きつこうとしてくるたちゅごん。

最初は、眠くて不機嫌なんだな!昼寝しないで遊びに行くって言ったのは自分なのに!と腹を立ててしまって。ちゃんと練習して!と突っ返してしまいました。

実は出かける前、隙間の時間に公園に行き、タイムスケジュールがきつきつ。たちゅごんのレッスンが始まって数分、わたしはやっと休憩できたーとラインのチェックをしていたところだったのです。

本当は早めに教室について、コンビニでコーヒーを買って飲みたい…と思っていたのに、出る前に洗濯取り込み、たちゅごんのおやつ、上着の準備、などなど気を配って結果自分の楽器を忘れる(!)というサザエさんっぷり。

エレベーターに乗る前に気づいてよかったです…。

楽器を取りに戻った結果、予定していたバスに乗れなかっただけなく、その次のバスが満員で通過してしまうというアンラッキーも手に入れてしまいました…。

予定の2本あとのバスに乗って教室に到着。ちょうどレッスンの開始時間でした。

バス待ちの間に、少しくらい休憩したいと缶コーヒーを買ったものの飲む余裕もなく、内心ちょっとイライラしていました。


■悔しくてバドミントンずっと打っていた日

でもたちゅごんの顔を見たら、ねむくて不機嫌というのとはちょっと違うと気づきました。口をへの字にして、どう伝えたらいいかわからない自分の気持ちに困っているみたいな顔。

あっ、と気付いて、わたしはたちゅごんが持っている楽器を一度受け取って、ぎゅうっと抱きしめた。

「うまく弾きたいのに、やだよね。」

と聞くと、わたしの胸に顔をぎゅうぎゅうこすりつけてきた。

「でもさ、下手くそにたくさん弾くと、うまくなるから。だから弾いといで。」

そう励ますと、最初はイヤそうだったけど最終的には気持ちを立て直すことができたようだった。

長さは相変わらずイマイチで音程もずれていたけども。

そういえば小学生上がったくらいの時、親に連れて言ってもらった公園で。わたしは、バドミントンの羽を宙に打ち返して、連続で10回繰り返したいと思っていた。なのにできなくて、日が暮れるまで親を待たせていたのだよなぁ、あの日。

あの日親になんて言ってもらったかは忘れたけど、わたしができるまでずーっと待ってくれていた。もう寒くなって暗くなってきていたから夏ではなく春か秋だったんじゃないかなぁと思う。

今回はたちゅごんの気持ちをうまく拾えてよかった。こういうことを見逃しちゃいけない、完璧な対応してあげなきゃいけないって考えると、親でいることは途方もなく大変なことのようにも思える。

だけど、間違えたら謝ってたくさん話せばきっと大丈夫、その時ベストな解を与えられなかったとしても取り返せる。そういうことにして、明日もたちゅごんと一緒に過ごしていこう。